よもやま話Yomoyama talk
若狭めのうの玉磨(たますり)用具
平成18年3月15日に、「若狭めのうの玉磨用具」が、国の登録有形民俗文化財に登録されました。登録有形民俗文化財とは、文化財保護制度の拡充のため、平成17年4月1日の文化財保護法改正により新たに規定されたもので、「若狭めのうの玉磨用具」が記念すべき第1号の登録となりました。
若狭めのう細工は、宝石工芸細工として伝統的工芸品産業に指定されていますが、現代のような彫刻技法が開発されたのは明治に入ってからで、それまでは専ら数珠玉や緒締玉、カンザシ玉などの玉製造が行われていました。独特の焼き入れ法により赤く発色しためのう玉は、「若狭玉」「遠敷玉」などと呼ばれ、主に京阪神方面へ出荷されました。この地方では玉製造のことを「玉磨(たますり)」と言っています。登録有形民俗文化財となったのは、当館(当時は若狭歴史民俗資料館)が保管していた、昭和30年代頃まで使用されてきた玉磨用具327点です。焼き入れ・切断・欠き込み・穴あけ・削り・磨きの各工程で使用される用具がほぼ収集されているほか、原石や工程ごとの半製品も含まれており、若狭地方でのめのうの加工技術はもちろん、わが国の玉の製造技術の一端を示す資料として貴重なものとなっています。